紀野一義氏の本を読んでいて思いっきり笑った。
禅の師家は親切には教えない。あんまり親切に教えると老婆心切といっておばあさんが孫を可愛がるようだという。これはあんまりいいことではなく、大体おばあさん子は三文安いという。何故かというと可愛がりすぎるからである。寒いといえば着せ、暑いといえば脱がせる。着せかえ人形ではあるまいし、自分がやればいいのである。それを勝手に着せたり脱いだりさせているから、三文安いのができ上がる。ところが師家はそんなことはせぬ。寒いといえば脱がせ、暑いといえば着せるかも知れぬ。そういう師に就くのが幸せなのである。
「ある禅者の夜話」より
いろんなところに手が届きすぎてボケてるのは
自分も含めて三文安やねんけど
トイレのふたが勝手に開いたり閉まったりして
『エラい事になってきたなあ』と思っていたにゃ。
結局、日本列島にイージーな部分が増えすぎてエラいことになってる。
村上春樹氏がカタルーニャでの授賞式スピーチで東電と日本の社会に対して
「効率を求めすぎた結果」と発言されたそうだ。
便利や簡単を求めた結果
日本人だけが身を以て経験した真理を
簡単に失ってしまった。
そうした現実をお空の上の禅の師匠が見ていて
「寒い言うたら脱がせよかあ?
暑い言うたら着せとこかあ?」言うて
勉強しいや〜って、言われてるような気がする。